クロツグ

《学名》
 
Arenga engleri.
《科名・属名》
 ヤシ科 クロツグ属。
《分布・生育地》
 南西諸島に自生。
《特徴》
 茎は円柱状で、数本が束になって生じ、高さは5mくらいになる。茎の表面は葉の基部の葉鞘が分解して生じる黒い繊維に覆われてる。葉は長さ3mにも達するもので、羽状複葉で全体は長楕円形、基部には1mほどの葉柄がある。小葉は20-40対以上もあり、個々の小葉は細長くて長さ25-60cmになる。葉質は硬く革質、表面は黒っぽい緑色で鈍いつやがある。裏面は白っぽく、中肋が強く突出し、基部近くではここで二つ折り状態となり、その側面で軸につく。小葉の先端は何かに噛みちぎられたような不規則な鋸歯がある。花序は先端から出て、斜め上に出るか、ややうつむいて伸び、往々にして葉より下に広がる。雌雄同株ながら、雌雄の花は別の花序につく。花序は最初多数の苞に包まれ、後に外に出る。花序の枝は黄色みを帯び、非常に多数の枝に分かれ、花は長く伸びた枝に多数密着して生じる。果実は2cmほどの楕円形で、赤みを帯びた黄色に熟する(ネット参考)。
《食草としている沖縄の蝶類》
 クロボシセセリルリモンジャノメ、。
《蝶の幼生期写真解説》
 
幼虫の写真は、特記がないかぎり全て新田智撮影。

 
クロボシセセリ産卵 うるま市 2007年11月9日 クロボシセセリ同左卵 うるま市 2007年11月9日 クロボシセセリ蛹巣 糸満市 2007年11月11日 クロボシセセリ蛹(同左巣を開く)糸満市 2007年11月11日
《参考・引用文献》
1)クロボシセセリ:比嘉正一・長嶺邦雄「改訂・沖縄県の蝶ー記録された島と食草ー」2-182(2019).
※本誌にはルリモンジャノメの記録なし.
《文献覚え書き》

 食草:クロボシセセリ、ルリモンジャノメ:仁平勲「日本産蝶類幼虫食草一覧」(2004).